イーサリアム(Ethereum)を使うとき、必ず耳にするのが「ガス代(Gas Fee)」です。
ガス代とは、イーサリアムのブロックチェーン上で取引(送金やスマートコントラクトの実行)をする際に支払う手数料のことです。
わかりやすく言えば、「道路を走るときの高速料金」に似ています。
イーサリアムのネットワークは世界中の人が同時に利用しているため、混雑するとガス代が高くなり、空いているときは安くなります。
つまりガス代は、
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取引を処理してくれるマイナー(またはバリデーター)に支払う報酬
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ネットワークを安全に動かすための燃料
この2つの役割を持っています。
なぜ「ガス」と呼ばれるのか?
「ガス」という言葉は、車の燃料に由来しています。
車が走るためにガソリンが必要なように、イーサリアムのブロックチェーンで取引やプログラムを動かすには「ガス」が必要になります。
このガスは実際のガソリンではなく「仮想的な単位」です。そしてガス代は「ETH(イーサ)」で支払われます。
ガス代の仕組みをわかりやすく説明
ガス代は以下の式で決まります。
ガス代 = ガスリミット × ガス価格
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ガスリミット(Gas Limit)
取引やプログラムを実行するために必要な処理量を表す数字。
例:単純な送金なら約21,000Gasが必要。 -
ガス価格(Gas Price)
1単位のガスに支払うETHの額。ネットワークの混雑状況によって変動します。
イーサリアムのアップグレードとガス代の変化
2021年8月に行われた「ロンドンハードフォーク」以降、ガス代の仕組みが変わりました。
これにより、ガス代の一部が「バーン(焼却)」され、供給量が減るようになりました。
現在の仕組みでは、
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基本料金(Base Fee) … ネットワークの混雑度で自動的に決まる
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優先料金(Priority Fee / Tip) … 取引を早く処理してもらうために上乗せする
この2つを組み合わせてガス代が決まります。
ガス代はなぜ高いのか?
ガス代が高騰する理由はシンプルです。
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利用者が多く、ネットワークが混雑している
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NFTの人気やDeFiブームで大量の取引が発生
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大規模なスマートコントラクトを動かすときに多くの計算が必要
これらが重なると、ガス代が一時的に数千円〜数万円にまで跳ね上がることもあります。
ガス代を安くする方法
ガス代をできるだけ抑えるためには以下の工夫があります。
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取引のタイミングを工夫する
混雑が少ない深夜や早朝を狙う。 -
レイヤー2(Layer2)を利用する
ArbitrumやOptimismなどの「セカンドレイヤー」を利用すれば、ガス代を大幅に節約可能。 -
取引をまとめる
何度も小分けに取引するのではなく、まとめて送金する。 -
ガス代の見積もりツールを使う
「ETH Gas Station」などのサイトで確認し、安い時間帯を狙う。
ガス代と銀行手数料の違い
銀行でも送金するときに「手数料」がかかります。
しかし、銀行手数料とイーサリアムのガス代には違いがあります。
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銀行手数料 … 銀行が決める固定料金(例:300円)
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ガス代 … ネットワークの需要と供給で変動する
つまり、銀行の手数料は安定していますが、イーサリアムのガス代は「混雑状況」によって変わるのです。
Q&A:よくある質問
Q1. ガス代は誰がもらっているの?
→ マイナー(現在はバリデーター)が取引を処理した報酬として受け取ります。
Q2. ガス代は必ず支払わないといけないの?
→ はい。支払わなければ取引は処理されません。
Q3. ガス代は税金みたいなもの?
→ 税金ではなく、あくまで「取引を処理してもらうための手数料」です。
今後ガス代はどうなる?
イーサリアムは今後「スケーラビリティ(処理能力)」を高める開発を進めています。
特に「シャーディング」や「レイヤー2」の普及によって、ガス代は徐々に下がると期待されています。
ただし、人気のプロジェクトや新しいブームが出ると一時的に高騰する可能性はあります。
まとめ
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ガス代はイーサリアムを使うときに必要な手数料
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混雑状況によって高くなったり安くなったりする
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レイヤー2やタイミングを工夫すれば節約できる
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今後の技術進化で安くなる可能性が高い
初心者の方も「ガス代」という仕組みを理解することで、安心してイーサリアムを活用できるようになります。